宝尽くしは、中国から室町時代に日本に伝えられた日本の伝統的文様で、様々な宝物を描いた縁起のよい吉祥文様。七福神の大黒天が持ち振れば欲しいものが手に入るという縁起ものの「打出の小槌」、平安時代に希少価値の高いスパイスとして日本に渡来したクローブはその希少性から吉祥文となった「丁字」、重さを量るときに用いたおもりの「分銅」、お経が書かれた「宝巻」、秘伝などを記した「巻軸」、その他にも「隠れ蓑」、「隠れ笠」、「金嚢」など、様々な縁起物が描かれています。それらに加え、今の宝、50年後の宝を描きたいという作者の思いを込めて、縁起の良い文様である黒く締まる羽が印象的な「鶴」、「松竹梅」などが描かれています。明るくも上品な朱色と文様を締めるように、落ち着いた金の線を描き、上部には赤みを帯びた金箔が光りと共に作品を華やかな印象に演出します。所々にブルー、ピンク、紫のヤコウガイの光があしらわれアクセントとなり、今と未来を感じる祝いの宝尽くしです。